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lambretta_tv_200
212:774RR2011/05/13(金) 01:31:26.37 ID:2SdG7UqO
以前書いたエピソードの続き。
自分で「コレの続き」て言うのは何かアレなので、途中で分かった人が指摘していただけたら。
ちなみに現在進行形。さらに言うとエロは無い、たぶん。



新しい職場に来て3週間が過ぎ、仕事にもボチボチ慣れようとしていた。
その職場の同じフロアの別部署に、ちょっと変わったというか、妙に気になる女子社員がいる。

変わってるというのは喋り方に妙にクセがあるのと、あとかなりの天然であるということ。
勤務中に内線をかけると

「あ、Mさん(俺)、おぉ疲れさまですぅ~」
「あ、ハイィ~」
「あ、そぅぉおですねぇ~」
「分っかりましたぁ~」

といった塩梅。

字面だけ見るとぶりっこ(死語)ぽいようにも見えるが、そういう感じではない。
とにかく俺の31年の人生の中で初めて遭遇した喋り方だ。
しかし喋り方は実害が及ぶことは無いので別に構わないのだが、天然に関しては看過できない。
213:774RR2011/05/13(金) 01:33:46.00 ID:2SdG7UqO
彼女(以下「さおりん」とする)の主な仕事はPC端末への入力業務なのだが、いかんせんミスが多い。
入力そのものは猛烈に速いのだが、いったん入力を始めると
脇目も振らず一気呵成に終えてしまうので、なかなか途中のミスに気付かないのだ。

オマケにその後のセルフチェックも杜撰。
何度も注意されてるらしいのだが、あまり効果は無いようだ。

しかしその喋り方等、特異なキャラのおかげもあってか、職場では「面白い子」扱いで済んでいる。
エエんかいなそんなんで。
214:774RR2011/05/13(金) 01:35:50.20 ID:2SdG7UqO
ちなみに女子社員は制服着用で、社則には制服での通勤は禁止とあるらしいのだが、
彼女はお構い無しに制服で自転車通勤している。
社則以前にうら若い女子が制服姿で町をウロウロするのは
かなり恥ずかしいと思うのだが、こないだも

「あ、Mさん、おぉ先に失礼しますぅ~」

と言い残して鼻歌交じりで自転車を漕いで家路についていた。

で、気になるというのは、社員同士の昼休みの雑談の輪の中なんかで
彼女が俺のほうをチラチラと見るような仕草をしているようなそうでないようなという。

自意識過剰のオッサンと笑わば笑え。でも実際そう見えるんだから仕方が無い。
215:774RR2011/05/13(金) 01:38:14.39 ID:2SdG7UqO
そんなある日、仕事の用事で彼女のデスクに向かうと、PCの壁紙にランブレッタが。
興味を惹かれたので

「こういうスクーター好きなん?」

と聞いてみると、

「あ、ハイィ~。大好きですよぉ~」
「こないだウチの前で撮ったんですぅ~」

何だと。

「え、んじゃコレさおりんのシリーズ1(結構希少モデルである)?めっちゃ綺麗やん」
「女の子でこんな趣味って珍しいな~」と感心すると、

彼女は栗色のショートカットの頭をかきながら

「そうですかねぇェヘヘ」

と照れくさそうに笑う。
(ちなみにこの「ェヘヘ」という笑い方、個人的にツボってしまい、
聞くたびに毎回キュンキュンしてしまう俺だった…)

「いや~ホンマ綺麗やわ、羨ましいな~」

と心底羨ましがる俺。
216:774RR2011/05/13(金) 01:39:41.88 ID:2SdG7UqO
するとさおりん、

「そうですかぁ?でもMさんのシリーズ3もすっごいカッコいいじゃないですかぁ~」

あ~ありがと…って

…ん?

あれ?

何で知ってんの?

てかソレだいぶ前に盗まれて今はもう手元に無いんだけど?

そもそも俺はこの会社に入ってから、スクーター趣味のことを口外したことは無いはずだが?
しばし頭が混乱する。
217:774RR2011/05/13(金) 01:41:44.34 ID:2SdG7UqO

「え~と、ごめん。何でそんなん知ってるん?」

またェヘヘと笑う彼女。こんどはちょっといたずらっ子っぽい。
それ反則だから止めろ、いややっぱ止めなくていい。

「何でって、やっぱ覚えてないんですかぁ~」
「7~8年前ですしねぇ~。でもMさん全然変わってないから私すぐ分かりましたよぉ?」

何だそれ。必死に記憶を辿る。7~8年前。スクーター。女の子。うーん…。

「ヒントはベスパの赤い50Sですねぇ」

222:774RR2011/05/14(土) 00:47:04.07 ID:/G58P6YB

思い出した!

まだ京都の某大学の3回生だった俺は、必死で貯めたバイト代で
念願のランブレッタLI150を買って、講義にも出ずにあちこち走り回っていた。

そんなある日、京都郊外のツーリングコースを走っていると、
路肩にベスパを停めてしゃがみこんでいる女子を発見。
何かめんどくさそうなのでスルーしようと思ったのだが、
すれ違いざまに目が合ってしまったので引き返すことに。

聞けば何てことはない。ただのパンクだ。
ベスパはチューブタイヤなので普通はスペアタイヤと交換するのだが…
って積んで無いのかよスペア!

カッコ悪いから外したとのことだが。何考えてんだ。
しょうがないので俺が常に携帯している修理キット&エアポンプで直してやったという、
まぁそんな話だ。

別に連絡先も聞かなかったし、それっきり会うこともなかった。
223:774RR2011/05/14(土) 00:50:12.27 ID:/G58P6YB

「しかしよく覚えたなぁ、んなこと。」

「だってめっちゃカッコよかったですよぉ」

うおっと…

「ランブレッタ」

ああ、うん、そっちか、そうね…(狙ってるのか…)

「アレで私絶対ランブレッタ買う!って思ったんですからぁ~」

さいですか。
224:774RR2011/05/14(土) 00:53:51.20 ID:/G58P6YB

「でもアレは盗まれてもう無いねん」

「えぇ~そうなんですかぁ~」

表情が曇り、うなだれながらハァとかアァとかため息ともつかない言葉を発しているところを見ると
本気で残念がっているようだ。やっぱ天然だなコレ。

「だから今はTV200に乗ってるよ」

「わ!TVですかぁ!めっちゃ見たいですぅ~。今度見せてくださいよぉ~」

「あ~、いいよ」

「やったぁ!」
パッと明るい表情になり、小首を傾げてまた例の「ェヘヘ」

225:774RR2011/05/14(土) 00:55:16.91 ID:/G58P6YB
ということでメアドを交換し、次の週末に会うこととなった。
普段はその天然さ加減ゆえに多数のボケをかますものの基本的には大人しく、
自分からはあまりペラペラと喋らない彼女だが、
今回の件で少し意外な一面を発見した。
まぁアレだ、縁は異なもの。
226:774RR2011/05/14(土) 00:56:47.83 ID:/G58P6YB
で、当日。
TV200に乗って待ち合わせ場所に着くと彼女はすでに居た。

普段は掟破りの制服通勤を敢行している彼女なので、私服姿を見るのは初めてだ。
職場での天然ぶりからひょっとしてすごいカッコなのではと危惧していたが、意外や意外、
ホワイト&グレーのシリーズ1(通称フレームブレイザー)の傍らに佇むさおりん、
わりと普通にかわいらしい。
白いシフォンのチュニックがこれまた透き通るような白いお肌によく似合ってる。
227:774RR2011/05/14(土) 00:58:06.03 ID:/G58P6YB

「こんにちはぁ~」

「TVいいですねぇ~。さっすがランブレッタの王様ですよぉ」

「いやいやさおりんのもいいわぁ~。綺麗やしめっちゃオリジナル度高いやん?」

と、それを皮切りに関係者以外を全く寄せ付けないであろう会話をしばし続けた2人。
余談だが彼女の知識の深さには舌を巻いた。たぶん俺よりよほど詳しいだろう。

その後彼女の行きつけのピザ屋でランチでもということに。
何でも仲の良いベスパ乗りの女の店員さんが居て、ちょくちょく遊びに行ってるそうだ。

しかしその店で思いもよらぬ事態に遭遇するとは。
229:774RR2011/05/14(土) 01:23:56.28 ID:/G58P6YB
ちょっとセリフの書き方の問題でさおりんのキャラを誤解されそうな気がするので一応…
彼女はわりと大人しい性格で、よくいる同性に嫌われるタイプでは全くなく、
喋り方も字面から想像されるような男に媚びたような甘ったるい声ではないですハイ。
236:2122011/05/14(土) 22:54:58.41 ID:/G58P6YB
さおりんの案内で店に着くと、綺麗なラベンダーカラーの180SSが停まっている。
彼女曰く、例の店員さんのものだそうだ。
店内に入ると

「いらっしゃいませ」

と男女の声。
声の主に目を遣ると…

うそ

マジで
237:2122011/05/14(土) 22:57:50.22 ID:/G58P6YB
でも間違いない。
カウンターの向こうには6年前と全く変わらない彼女。
さおりんがその女性の店員に向かって

「久しぶりぃ~」

と手を振ると

「わ!さおりん久しぶり~!いらっしゃ~い」

と聞き覚えのある声。
角が無く、丸い、人をリラックスさせるような声。

その場からダッシュで逃げ出したくなったが、何とか堪える。
彼女と目が合う。一瞬の驚いたような表情の後

「いらっしゃいませ」

そして

「Mさんもお久しぶりですね」

とあの落ち着いた、優しい口調で言った。

「うん…元気やった?」

「ええ、もちろん」

238:2122011/05/14(土) 23:01:16.19 ID:/G58P6YB
敬語。そして、「もちろん」か。心がざわつく。
戻ってきてたんだ、大阪に。

さおりんが

「え?え?知り合いなんですかぁ?」

と彼女(以下「カナ」とする)と俺とを交互に見やるが、
2人ともぎこちなく

「うん、まぁ…」

と答えるのがやっと。
その答えはウソではないとも言えるし、そうではないとも言える。
デーモン小暮閣下風に言えば「イエスでありノーだ」である。

しかしさおりんは

「へぇ~そうなんやぁ~。すごい偶然ですねぇ」

とわりとアッサリ納得した様子で、ピザを注文する。
俺も何か注文して食べたはずなのだが、何だったのかはサッパリ覚えていない
店を出てからは

「ちょっと気分が悪いから」

と断って部屋に戻った。

「大丈夫ですかぁ~?」

と心配するさおりんには悪いと思ったが。
239:2122011/05/14(土) 23:02:40.80 ID:/G58P6YB
カナは偶然知り合った7年前から、俺がずっと想いを寄せている人だ。

6年ほど前に思い切って告白したが、とある事情で断られ、彼女は故郷の広島へ帰ってしまった。
単純にフられたのなら俺も6年間も想い続けることは無い。

「大好きやのに一緒になられへん人のそばで生きてくのって、すっごい苦しい…」

彼女の別れ際のその言葉と涙がずっと心に刺さっているのだ。
俺と「一緒になられへん」理由も彼女の口から聞いて知っている。
394:2122011/05/24(火) 01:35:25.05 ID:D+yBulDY
そういやあまり容姿の描写が無かったですが、カナさんはかなり美人です。

どなたかが「カナさん=安藤裕子」と書いてましたが、残念ながらハズレ。
小柄な森口瑤子と言った感じ。タレ目美人。

瞳がとにかく綺麗で比喩でなくほんとに吸い込まれそう。
そのうえ話してるとき人の顔をじっと見るクセがあるようなので、
あまり免疫の無い俺などはドギマギして未だに目を逸らしてしまいます。

彼女の勤めてる店はビジネス街のド真ん中にあるのですが、
彼女が働きだしてから、ランチに訪れるサラリーマンが増えたとか。
まぁほんとに綺麗な人です。愛想良いですし。

んで、むしろさおりんが安藤裕子です。

あんなに美人ではないですが、ああいう顔立ちで栗色のショートカット。
細身で背がひょろっと高くて(167cmだそうで)朴訥とした子。猫背。猫が好き。
カナさんとは正反対に、いつもうつむき加減で話します。例の口調で。

あと給湯室で自分の弁当箱を洗っている後姿がなんかかわいい。

以上
お目汚し失礼しました。
moriguchiyouko andouyuuko_tri
森口瑤子 / 安藤裕子

241:774RR2011/05/14(土) 23:16:56.17 ID:Sm2Tq/9V
えーと、何やっけ、相手(カナ)が信仰の関係でどうのこうの、ってやつか?
242:774RR2011/05/15(日) 00:16:55.76 ID:7u/1enao
あ、俺も思い出した

6年越しの恋か~
246:2142011/05/16(月) 01:00:19.75 ID:dFOY7pHX
>>241-242 えーと、正解

現在進行形なのでオチは無い(と思う)んだけど
ほんとどうしようかと悩んでて、んでこんなこと書いてるのです。





―― ここから過去ログ ――


548:774RR2010/06/17(木) 01:21:18 ID:3uZ788Ly
大学時代からの彼女と別れたり仕事辞めたりとゴタゴタが続いてた5年ほど前の6月頃、
気分転換に朝っぱらから平日プチツーリングへと出かけた。

「奴隷階級の諸君、今日もご苦労!」

と、通勤ラッシュをかいくぐり海岸沿いのちょっとした公園へ。

別に何があるというわけでもなく、綺麗とは言えない大阪湾を望むだけの場所なので、
他には誰も居ないだろうと思いきやそこには先客が。
しかもオールドベスパとお姉さんというナイス組み合わせ。

露骨に視姦もとい様子を窺うのもアレなので、遠巻きにチラチラと盗み見したところ、
ベスパは恐らく160GS。色あせたペールグリーンがなかなかいい味出してる。

肝心のお姉さんはというと、キャミソールの上にに薄手のカーディガン、
黒のサブリナパンツにミュールという安全厨が見たら顔を真っ赤にして怒り狂いそうな出で立ち。
距離があるのでご尊顔の詳細までは拝見できないものの、
小柄な体型や緩いウェーブがかかった栗色の髪などからとてもキュートな女性に違いないと妄想。

しばらくチラ見を続けているとどうやら彼女は出発する模様。
名残惜しいと思いつつもただただその姿を眺めるばかり。

メットを被りグローブを嵌めていざキック。
バララララッ…
スポーツチャンバーをつけているらしくなかなかに勇ましい音。やるな姉さん。
存在感のあるラージボディに跨ってさぁ出発。さよなら姉さん。
・・・プスッ
・・・気を取り直してもいちどキック。さらにキック。さらに(ry
6月のわりに涼しい日和とはいえ、十数回のキックはさすがに堪えたのか、
GSのとなりにへたり込んでしまった。
549:774RR2010/06/17(木) 01:24:23 ID:3uZ788Ly
小休止で回復したのかすっくと立ち上がると、再度チャレンジかと思いきや、
俺のほうを向いて

「ちょっとすいませ~ん」

と、少し鼻にかかった丸っこい声を上げるではないか。
自分を指差して

「俺?」

とジェスチャーすると、うんうんと激しく頷くお姉さん。
まぁたしかに他には誰もいないな。ラッキー。
でも普通はこっちまで来て声掛けないか。案外ズボラなのか。

「すいません」
「似たようなの乗ってはるから分かるかなと思って」

書いてなかったけど、俺の愛車はランブレッタのLi150なんで確かに似たようなもんだ。
でも分かったところで直るとは限らないし、そもそも分かるかどうかも怪しい。
どこの馬の骨とも分からん野郎によくこんなこと頼む気になるな。個人的にはウェルカムなんだけど。

お手本どおりに原因を探っていくと燃料がキャブまで下りてないことが判明したので、
ガソリンのラインにでっかいゴミがつかえてたので針金で取り除いてやるとアッサリ始動。

「ありがとうございます」
「や~もうほんと助かりました~」

彼女が近くの自販機で買ってきてくれた缶コーヒーを飲みながらしばしの雑談。
年の頃なら20代半ば辺りか。タレ目と泣きボクロと少し眠そうなボヤ~とした口調がツボに嵌る。
これは職を失ったことと等価交換なのか。神様ありがとう。一応カトリック教徒ですから。

しばらくすると彼女が立ち上がったので、帰るのかと思い、

「で、できればメアドを所望したく・・・」

と声を掛けようかと思った瞬間。

「そうだコレ」

と手渡されたのが、

…名刺?
でも会社名とか入ってないな。

「個人的な名刺なんです」
「メッセのアドも載せてますからよかったら招待して下さい」
「改めてお礼もしたいですから~」


…出来過ぎ。
モテ期到来なの?
550:774RR2010/06/17(木) 01:27:50 ID:3uZ788Ly
その日からしばらく間をあけた後、メッセに招待した。
間をあけるのは当然

「いやそれほどガッついてませんが何か?」

という本心と裏腹の意思表示に他ならないんだけど、相手に通じてるかどうかは甚だ疑問。

それはさておき、話してるとこないだのお礼がしたいということで、その週末に会うことに。

大阪の某ターミナル駅の某超有名待ち合わせスポットで待ち合わせようとしたのだけど、
あまりに人が多いということで、俺が別れた彼女とよく待ち合わせていた、
そのスポット近くの中国茶カフェで待ち合わせることに。
こう書くと場所を特定できる人もいるだろうけどそれはそれで。ええあそこです。

待ち合わせ場所に現れた彼女は黒のワンピースにカーディガン、
足元は結構高めのハイヒールという、こないだより幾分大人っぽい出で立ちで、なかなかに色っぽい。
お茶しながらこないだの話でそれなりに盛り上がったところで、

「あの~お礼っていうほどではないんですけど・・・」
「よかったらお昼ご馳走させてもらえます?」

551:774RR2010/06/17(木) 01:28:54 ID:3uZ788Ly
彼女の行きつけらしいイタリアンの店でオサレぽいランチタイムに。

それぞれ別の料理のコースをオーダーしてしばし談笑していると、料理が運ばれてくる。
本当は彼女が頼んだ魚料理が食べたかったのだけど、あえて違うものを頼んだのはワケがある。

そう、それは「コレ美味しいよ。よかったらどう?」作戦。
カワイイ女子と料理をシェアする。至福の時ではないか。

前菜はさておき、パスタが運ばれてきた時点で言おうと思っていたのだけど、
なかなかタイミングが掴めずにいると、

「これめっちゃおいし~。一口どうですか~」

喜んで!(某居酒屋風に)

そこへオーナーシェフが取り皿(と言っていいのか)をタイミングよく持ってきて、

「○○さん(彼女)いいですねぇ。ニュー彼氏?」

「ニューとかも~、、、違いますよ~」
「私が男の子連れてきたらすぐそんなん言うし~」

「あ、すいません」
「気にせんといてくださいね」

するわい。


続く
560:5482010/06/18(金) 01:53:05 ID:2LunfooG
彼女はとっても美味しそうに食事するんだけど、ときたまフォークの先の食材をしげしげと眺めたり、
それがどういう食材なのかとか、何で味付けしてるのかといったようなことを、
さっきのオーナーシェフに熱心に尋ねたりするので、料理好きなのかな?と思いきや。

「あ、私この近くにあるバールで調理師やってるんですよ」

バール?あ~、、酒と軽い食事を出すイタリアンな居酒屋みたいな?

「そうそう。今度来てくださいよ」

あいにく下戸なんだけど・・・。

「ランチもやってますからぜひぜひ~」

このようにセカンドコンタクト(?)も上手くいったような感触だったし、
この日以降もほぼ毎日のようにメッセで夜中まで話したりもした。

それも彼女のほうから話しかけてくることが殆どだったので、
当然「これはイケる」と思うのが野郎の性というもの。
頃合を見てデートに誘うことに。

しかし返事は

「その日は用事がある」

とあっさりとお断り。
しかも「何時々々なら大丈夫だけど」との代替案も示されず。あれ?
その後もめげずに何度かお誘いするも同じような返答ばかり。

何かマズったかな~と考えるものの、相変わらず毎日のようにメッセで声を掛けてくるし、
他愛ないメールのやりとりもあったりして。何ですかコレ。
561:5482010/06/18(金) 01:53:56 ID:2LunfooG
意気消沈して「もうメッセ友達でいいか・・・」と半ば諦めかけていた8月頃、
突然

「もう晩御飯食べちゃった?」 (この頃はすでにタメ口の間柄)

とメールが。

あらひょっとして・・・

「よかったら美味しいお魚食べに行かない?」

もちろん行きます~。

またまた彼女の行きつけらしい、少しお高い海鮮系居酒屋にて。

その日の彼女は服装と言いメイクと言いかなり色っぽく、
オマケに冷酒をハイペースで消費するもんだから、
少し大きめに開いた胸元まで赤く染まってしまう有様。

こうなってしまうとアルコールがダメな俺は完全に保護者モード。
帰る頃には多少酔いは覚めたものの、まだ足元が若干怪しいのでタクシーに乗せて帰らせることに。
あぁあんな色っぽい生き物をただ見送るだけだなんて。

その後も何度か

「今から焼肉行くけど」

とか

「いま何処其処の店にいるから来ない?」

と、突然のお誘いがあり、またこちらからのお誘いもOKされるようになったものの、
何故か「映画を観に行こう」とか「美術館に行こう」といった、
いわゆる「デート」ぽい誘いは全てお断り。
「食事」という単品メニューのみOKという何とも不可解な間柄に。

そのうち彼女の知り合い(飲食店勤務なのでやたら顔が広い)と一緒に遊びに出かけたり、
彼女の部屋での家飲み(飲めないけど)に参加したりと親密度は上がっていったものの、
メシ友?的なポジションは相変わらずで、
2人で食事した帰りに彼女の部屋の前まで送っても、

「よかったらお茶でも・・・」

といったセリフが聞かれることも無く。

ちなみに、前述のイタリアンの店での「男の子を連れてくると~」というのは
彼女の店のバイト君だったり仲のいいお客さんだったり、
付き合いというか、まぁそういうことらしい。
562:5482010/06/18(金) 01:54:57 ID:2LunfooG
初期のアプローチは積極的だったのに、その後は意外とそっけない彼女の態度を測りかねたので、
一度、彼女の大学時代からの親友という女の子に脈はありそうかとそれとなく聞いたら、

「お仲間なの?」

というよく分からない質問が。何だそれ。

「いや、分からんのやったら気にせんといて」
「そやね~、、難しい子やと思うよ~」

何なんだ。

出会ってから半年ほど過ぎた頃から、彼女の周囲が俺と彼女をくっつけようと画策して、
ことあるごとに

「2人ともどうなん?」
「ええ感じやねんから告ってまえ!」

と盛り上がりを見せるものの、
当の彼女は

「も~そんなんいいから~」
「ミッちゃん(俺)迷惑がってるやん」

と、軽くいなすばかりで、
件の親友の女の子も周囲の雰囲気からは一歩引いた様子。

そういう具合にそれなりに楽しいものの、
日に日に募る彼女への思いと相まってどうにもしっくりこない日々を送っていると、
愛車のLi150が盗難に遭うという災難が。嗚呼。

すっかり意気消沈して自宅に引き篭もっていると、仲間内から話を聞いた彼女から連絡が。
曰く、彼女のベスパを譲ってくれるというのだ。しかもタダで。

あの、GSはレストアベースでも10~20万はするよ?

「でも私あんま乗らへんし扱い悪いしさ」
「ミッちゃんやったらきっと大事に乗ってくれると思うけど、どうかな」

でもなぁ・・・

「んじゃ無期限貸与ってことでどう?Liが見つかったら返してくれたらいいし」

そんなに言うんならと、レンタル料として10万は受け取ってもらう事で契約成立。
内心ちょっと嬉しい。彼女の一部を手に入れたような、そんな気がした。
563:5482010/06/18(金) 01:56:14 ID:2LunfooG
年が明けて2月、彼女は誕生日を迎えるので、プレゼントに手袋を買った。
彼女が好きだという深いパープルの少し大人っぽいものだ。
あいにく誕生日当日は用事があるとのことだったので、1週間後の週末に会うことに。
もちろんプレゼントとか誕生日と言ったことは伏せておく。
場所は何度か行った彼女の知り合いが経営する居酒屋(色気無いなぁ・・・)で、
待ち合わせ時刻は23時半。遅っ!

当日店に現れた彼女はすでに顔がほんのり紅い。
聞けば友達と少し飲んでたそうな。
頃合を見計らって

「1週間遅れやけど…」

とプレゼントを渡す。



一瞬困ったような戸惑ったような、そんな表情が見えた気もするが、

「わっ、、ありがと~」
「開けていいかな?」

どうぞどうぞ

「わ~手袋か~、、綺麗な色・・・」
「私の好きな色憶えててくれたんやね!ありがと~」

どうやら気に入ってくれたようでホッとした。
その後の彼女は熱燗を結構なペースで飲みながら終始ご機嫌で、
翌朝5時まで付き合わされるハメに…。
564:5482010/06/18(金) 01:57:48 ID:2LunfooG
誕生日というイベントを経たことで、彼女との中途半端な関係が進展するかと思いきや、
相変わらず(何度使った言葉だろう)仲のいいメシ友のまま。

ある意味心地よい温い関係が終わるかもしれないが、ここはハッキリさせるべきであると。
何より言い訳できないくらいに真剣に惚れてしまっているのだから。
下品な話で言うとオカズにできない存在。

話があるから会わないかとメールすると、

「ちょうどこっちも会いたかった」

待ち合わせ場所は彼女ご指定の初めて会ったあの公園。


続く
571:5482010/06/19(土) 01:11:12 ID:Rd7Aueny
借り物のベスパで待ち合わせ場所に向かう。
3月の風はまだ冷たいが、気持ちは高揚していた。
のどに引っ掛かるほんの小さな魚の骨のような様々な疑念は、

「きっとうまくいく」

という強がりで無理やり封じ込める。

まだ1年も経っていないというのに不思議と懐かしさを感じる公園に着くと、
彼女はすでにそこにいた。

「バイクじゃ寒くなかった?大丈夫?」

いつもと変わらぬ口調と、温かい気遣い。手にはあの手袋が嵌められている。

ちょっとした雑談の後に本題を切り出そうと思っていたのだけど、

「それで話って何?」

いきなり計画は頓挫。
まだ心の準備ができていないので、そっちも話があるんじゃないのかと苦し紛れの切返し。

「いいの?じゃお言葉に甘えて」

「私ね、実家に帰ることになってん」

実家広島だったね。いつまで?

「そうじゃなくて、大阪を離れるってこと」


…はい?
572:5482010/06/19(土) 01:12:21 ID:Rd7Aueny
それで出発は…

「明後日。11時の新幹線で帰るよ」

急すぎるって…

「言おう言おうと思ってたんやけどなかなか言われへんかってさ~、ごめんね~」


ちょっと待って。
こっから俺の話でいい?

「…いいよ」


まるで結末を最後まで見透かしているかのように冷たい、
それでいて少し悲しそうな眼だ。
不安がよぎる。

俺は彼女に、いかにして彼女の事が好きになったか、
我ながら偏執的だと思えるくらいにこと細かいエピソードを交えて話した。
件のイタリアンの店での、彼女の女性らしい気遣いと美しい立居振舞に
スイッチが入ってしまったことや、それとは真逆の居酒屋での
楽しい酔っ払いぶりでますます惚れ直してしまったこと。

いちいち挙げれば限が無い。
だから。

「俺と付き合ってよ」
「できれば大阪に残って欲しいけど、ダメなら遠距離でもいい」

573:5482010/06/19(土) 01:13:43 ID:Rd7Aueny

「…私ね、ミッちゃんて私のこと好きなんやな~てね」
「ずっと思っててん」
「自分でも自惚れ強いヤツやな~て思ってたけど、ハズレではなかったんやね」
「ミッちゃんはどう?私がミッちゃんに惚れてると思ってた?」

それは…たぶん友達程度なんやろなと

「ブー。ハズレです」
「ずっと好きでした。そんで今でも大好き」

目の前がぱっと明るくなった気がした。
例え遠距離になっても広島なんてすぐそこじゃないか。

じゃあ…

「でもダメやねん」
「お付き合いはできません。ごめんなさい」

何で…
他にもっと好きな人がいるとか

「違う」

実は結婚してるとか

「違います」

じゃあ何でやねん!
574:5482010/06/19(土) 01:15:00 ID:Rd7Aueny

「…私ね、こう見えても処女やねん」

いきなり何を…

「笑うでしょ。こんなチャラいカッコしてるのに」
「でもちゃんと理由があるの」
「それは私の信仰に関係があります」

聞けば彼女はとある有名なキリスト教系の宗教の信者らしい。
詳しくは書けないが書けば「あ~あれか」と大半の人が思うアレ。
俺は大学時代のゼミ仲間に信者がいたのでピンときた。
今までのモヤモヤとした疑念は殆ど氷解したが、しかし心はむしろ…
彼女の親友の「お仲間なの?」「難しい子」という言葉。
そうだったんだ…。

「私が信じてる信仰ではね」
「婚前交渉はもちろんのこと、極端な話、
フィアンセでもない異性と2人で映画観たりすることすら許されへんの」
「もちろん同じ信仰をもってない人とは結婚もできません」

でも2人でメシ食ったりしたよね…

「あれは…、私なりの線引きというか…ご都合主義の解釈かな」
「せめて好きな人とは食事だけでもって…」
「ミッちゃんと2人のときってけっこう酔ってたこと多かったでしょ」
「あれは…後ろめたさを振り切るためって言うのかな」
「酔っ払いに付き合せて…ほんとゴメンね」

575:5482010/06/19(土) 01:16:29 ID:Rd7Aueny
それから彼女は、自分の信仰に対する思いやスタンスを語りだした。
教義や活動に矛盾や疑問を感じる事も多いが、心の支えになってることも事実であるとか、
その矛盾をうまく現実とすり合わせてやってきたこと。

言いたい事はいっぱいあるけど言葉が出ない。
言ったところで問題の解決には至らないのは自明の理だから。

外野からすれば
「早く彼女をカルトから抜け出させてやれ」という意見が一般的だろう。
しかし彼女はとても聡明で、その信仰をある程度客観視できた上で自らの心の支えにしているのだ。
無神論者や自称論理的思考の持ち主は、とかく宗教を排斥したがるが、俺はそうは思わない。
信仰によって強くなれる人もいるし、他人を幸せにできる人もいる。彼女はそういう人だと思った。

ならば俺が入信すればいいだろうか?これも否だ。
さっき書いたが、大学時代のゼミ仲間に信者がいたので、
教義などについてはそれなりに分かっているつもりだ。

さらになんちゃってとは言え俺はカトリック信者でもある。
女性と付き合うという理由から入信することは何より彼女への侮辱にもなる。

では残された選択肢は…
576:5482010/06/19(土) 01:18:33 ID:Rd7Aueny

「見えへんでもね、近くにいると思うとね、それだけで胸が苦しくなるやん?」
「大好きやのに、2人ご飯食べるだけ」
「そんなんこれ以上耐えられへんし」
「尊敬するお友達同士にもなれそうもない…」

そこまで言うと彼女は自分の自転車に向かって走り出した。
特徴的なタレ目にはかすかに涙が見えた気がした。

残されたのはあの時と同じベスパ160GSと俺
でもあの時の俺の相棒は居ないし、あの時のベスパの主である彼女も居ない。
577:5482010/06/19(土) 01:20:10 ID:Rd7Aueny
翌日の晩、彼女の親友であるK子からメールで呼び出しがあった。
重い足取りで待ち合わせ場所のスタバへ向かう。

「残念やったね」
「早めにあのとき言っといたらよかったかな」

いや結果は同じじゃないだろか。

「そっか」

運ばれてきたカップに口をつけるも、エスプレッソの味がしない。
こんなマズかったっけ。

「…私の知る限りではね、彼女がカミングアウト?した男ってミッちゃんだけやで」
「今までも男友達と似たようなことしてたけど、告られても適当な理由つけて断ってたみたい」
「信頼されてたんやね。マジ惚れやん」

今さらそんなこと言われても。

「ごめんね。私が謝るのも変やけど」
「そういや明日やね。見送り行くん?」

行ったところでどうなるのだろう。

「行くな」

って引き止める?
笑顔でさよなら?
それでどうなる。
そんなの望んでないし、彼女もそうだろう。

…行かへん

「そっか」

578:5482010/06/19(土) 01:22:05 ID:Rd7Aueny
翌朝は用もないはずなのに早く目が覚めた。
再就職の面接があるにはあるが全くどうでもいい。

ふてくされてごろごろしていると時計が目に入った。
10時半か。うまくすればまだ間に合う時間。やっぱ会いたい。

部屋を飛び出してGSの元へ。
キーを回してキックするもいっこうに始動しない。
あーもう何でやねん!
デカい声に自転車を取りにきた同じマンションの住人が驚く。

結局10分近く頑張るもダメ。
元の主人から指令でもあったのか。忠実なヤツめ。

思わずハハッと乾いた笑いが出た。
それと涙も。


579:774RR2010/06/19(土) 01:23:27 ID:nTw1sPX0
乙……せつねえぇぇぇぇぇぇ!!
651:774RR2010/06/20(日) 11:57:59 ID:fH94QQ6X
>>578
これは、やっぱり完了なのか。。

せつないのう。
お互い納得してるなら時が解決、美しい思い出となるだろうが。
657:5482010/06/20(日) 16:48:45 ID:IsvP5PBE
遅ればせながら
支援してくれた人、つたない文を読んでくれた人
ありがとうございます。。

>>651
後日談のようなものはあるにはあります。

彼女が広島へ発ってから半年後くらいに手紙が来ました。
それがこないだ部屋を片付けていたら出てきたので思わず読み返しまい、
不覚にも少し泣いてしまいました。
書き込んだら気持ちの整理がつくかなと思って書いた話なんですけど…。
難しいですね。
―― ここまで過去ログ ――


続き : とあるランブレッタ乗りの恋の話 ‐後編‐